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虚人のつぶやき
アニメ・漫画・小説などのレビューを中心に自分の好きなものを自分勝手に熱く「語る」ブログ。
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虚野 仁

Author:虚野 仁
虚構のことで人生がいっぱいいっぱいな人。「現実」に帰るのはいつの日なのだろう。
上の自画像は暫定版なので、変更ありです。



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インベーダー・サマー 菊池秀行著
今日取り上げるのは「このライトノベルがすごい!」で記事を書いている作家の早見裕司氏が、ある短編小説の中で傑作として挙げていた菊池秀行氏のSF小説「インベーダー・サマー」を取り上げます。
4257173521インベーダー・サマー
菊地 秀行

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えー、この小説はかなり昔の作品で現在では古書店でしかお目にかかれないと思います。と、いっても三つほど古書店をはしごしたら難なく見つけることができたので入手困難というほどではないですが(こいつと一緒に奈須きのこ氏の「空の境界」も購入したのでそのうちレビューを書こうと思います)。とりあえず、あらすじ。


夏休み直前のある日、天才的な剣道の腕を持つ少年・片桐学の通う高校のグラウンドに一人の少女が現れた。白い服、風に揺れる美しく長い黒髪を持つ少女の出現から少しずつ男子高校生たちに異変が訪れる。美術の風景画の宿題に奇怪な絵を提出し、時折笛の音に似た奇妙な言語でしゃべり、愛し合い絶対の愛を誓った恋人に別れを告げる。そんな男子生徒の中、ただ一人正常であった片桐は独自にこの事件の調査を行う。その末に行き着いたグラウンドに佇んでいた少女は、かつて片桐が愛し、死に別れた少女・影野弥生と同じ名を持った東やよいという少女であった。


って感じですかね。題名にインベーダーとあるように事件の真相は非常にSF的なことなのですが、読めばすぐに分かると思いますがこの小説はインベーダーの侵略という事件に仮託して、人が変わって行くことの寂しさや青春における恋のほろ苦さみたいなものを描いている非常に真っ当な青春小説です。文体も重厚で奥深く、いわゆる現在主流ともいえるアニメ・漫画からのフィードバックで成り立っているようなライトノベルとは一線を画していると思います。

僕の僅かばかりの読書経験からいうと、「ブギーポップは笑わない」がかなり近いのではと思います。あれもマンティコアという化け物の巻き起こす事件ではなくて、その事件に巻き込まれた生徒たちの心の動きが主題であったように、この小説でも緻密に描かれるのは事件のあらましではなくそれに巻き込まれて変わって行く高校生たちの生きている今です。今、って言っても無論小説中での「今」でして今現在の高校生の青春とは、かけ離れていますし、いい感じにフィクション臭さも加えられてはいるのですが。ブギーポップにも通ずる、虚構で固められた小説なのだけれども、確実に普遍的な学生時代にしか感じ得ない空気感とでも言うべきものを描き出しているので、そこが非常に面白かったです、と。

あとちょっと余談。
この小説、前述したように作家の早見氏が己自身を小説の主人公にした短編で傑作ジュニア文庫として挙げていました。ジュニア文庫という言い方に違和感を覚える比較的若い者は僕だけではないと思います。えー、ライトノベルなんて格好良すぎる言葉でこのジャンルを呼ぶな、みたいな事を早見氏は述べていて、ほかにもジュニア文庫は中学高校生向けの読み物で大人になっても大喜びで読み続けている奴は読書力が無いとか、結構きついこと言うなあと思いつつもそれなりに理解できる主張ではあると思いながらその短編を読んだのですが、この「インベーダー・サマー」を傑作として強く主張していることで僕らの世代と早見氏のジュニア文庫とかライトノベルとか呼ばれるジャンルに対するイメージというものがかなり隔たりがあるのでは、と思い至りました。僕の思い描くライトノベル像は最初にむさぼり読んだ「スレイヤーズ」が基本になっているんですよね。ゲームや漫画・アニメからの影響をもろに受けて作られた小説とでも呼べばいいのでしょうか。「スレイヤーズ」の主人公のリナはどう考えてもリアリティは無いですし、読者の脳内ではアニメ・漫画キャラのような形で存在しています。現実の人間、小説内の人間とは違った法則で律せられたリアルの中に生きています。さらに一人称で文体も軽いのでサクサク読める。僕らはそういうものを馬鹿馬鹿しいけど面白い、みたいなスタンスではなくごく普通の面白い読み物として読めてしまう、考えてみると結構稀有な存在なのかなと思います。早見氏の方はそんな小説をジャンクだ、軽薄だ、と感じてしまう世代にいるのかな。この「インベーダー・サマー」は本当に描写が緻密で舞台となる夕笛市の自然の描かれ方など非常に素晴らしい文章をしているのですが、そういったところを僕などはちょっとライトノベルにしては堅苦しいな、などと思ってしまうんですよね。僕はそこそこ一般小説も読むので読書力とかの問題ではないと思うですが(ちょっと、いやかなり自信ないけど)、これはもうそういう特殊な作品受容の仕方が僕らの中で確立されていると考えるのが妥当なのではないでしょうか。で、何が言いたいのかというと、このように世代の隔たりがあるということはこれから正に新しいライトノベル、あるいは「ライトノベル」という言葉に代わるような新しい小説のジャンルが生まれて行く可能性があるということで、読者としては楽しみな限りだなあ、とまあそんな些細なことです。
4073080407ブギーポップは笑わない
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修正というか追加情報
えーと、新しい装丁、新しい挿絵にして再版されたそうです。一緒に収録されている「風の名はアムネジア」も面白い作品なので買ってみるのもよいかと。
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