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虚人のつぶやき
アニメ・漫画・小説などのレビューを中心に自分の好きなものを自分勝手に熱く「語る」ブログ。
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虚野 仁

Author:虚野 仁
虚構のことで人生がいっぱいいっぱいな人。「現実」に帰るのはいつの日なのだろう。
上の自画像は暫定版なので、変更ありです。



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ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 滝本竜彦著
ちょっと最近思うところがありまして、少し多めに売れ線のライトノベルをレビューしていこうと思っております。
今回は現在、少年エースで好評連載中の「NHKにようこそ!」の原作者、リアル引きこもり作家滝本竜彦氏のデビュー作「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」を取り上げたいと思います!
4043747012ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
滝本 竜彦

角川書店 2004-06
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とりあえず、あらすじ。


平凡な高校生・山本陽介は生まれて初めて高級霜降り和牛二キログラムを万引きした帰り道、無根拠な敵・チェーンソー男と戦うセーラー服の美少女戦士・雪崎絵里に出会ってしまう。戦いに巻き込まれ、死の淵を覗いた陽介。普通なら避けて通るべき危険な戦い、しかし陽介は何かに引き付けられるようにチェーンソー男と雪崎絵里の戦いに深く深く関わっていこうとする。
『悪と戦ってかっこよく死ねるのなら、オレの人生は、それでオールオッケーなのだ。』
後ろ向きで、醒めていて、それでも何かを情熱的に追い求めようとする少年と少女の青春のカタチ。


ってな感じですかね。実のところこの本を読んだのは結構最近の話です。はっきり言って、このようなあらすじを見ただけで僕はもうお腹一杯というか、実に今風な小説だなと思って尻込みしてしまっていたもので。けれども、やっぱり話題になるだけのことはあって、かなり面白い小説です。(やっぱり食わず嫌いはイカンです)
というか、滝本氏がこの小説で何を描きたかったのか何を言いたかったのかが、僕には、僕らには手に取るように分かる(気がする)のです。敢えてこの小説を一言で表現するなら「エヴァ世代が、エヴァ世代の為に描いた小説」ということができると思います。事前にエヴァと宮台真司著の「終わりなき日常を生きろ」あたりを事前情報として入れておけば、誰でもこの小説を読み解くことができるのではないかなあ。
B0000DJ299劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に
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作者の滝本竜彦氏がエヴァンゲリオンのファンであることは、BSアニメ夜話でエヴァンゲリオンを取り上げたときにゲストとして招かれたことからも明らかです。かつて日本の世紀末を支配していた空気を醸成、あるいは喝破したのは疑いなくエヴァだと僕は思っています。(まあ、ひょっとしたらオタの周辺だけの現象だったのかもしれないけど)
テレビのブラウン管からの楽しい映像、きちんと起承転結の整ったドラマ、波乱万丈な少年たちの冒険と成長を描いたアニメーション。そういうものが日常の一部として取り込まれておきながら、現実にはただテレビの前に向かっている自分だけが居る。そのギャップはやっぱり気持ちの悪いものだ、しかしその退屈な日常から脱出するということは大きなリスクも背負っている。大きな理想や夢がほぼ確実に失望や絶望に変わることを僕らは知識として知っていた。作中にも登場する第二次大戦のころの話、学生運動が盛んだったころの話、オウム真理教も何かを信じすぎたという点ではこれらの末席に加えられると思う。何かを信じる、信じすぎるということに対して気づかぬうちに僕らはアレルギーを覚えるようになっていた。ちょっとでも何かに熱中すると頭の中で客観的に物事を観察している僕が、強引にその熱を冷まそうとした。あのころの皆がどこまでそうだったのかは、もちろん分かりはしないのだけれども少なくとも滝本氏と僕はそうだったようだ。


エヴァはそういう僕らの気持ちを代弁していた、あるいはそんな僕らの気持ちにフィットしていた。劇場版まで作られて、結局何一つ完結せず頓挫したままフィルムとしては終了してしまったエヴァンゲリオン。僕よりもちょっと大人な親戚の兄ちゃんは「いい大人があんな個人的なフィルムを作って、金儲けて、庵野とガイナは何考えてんだ」と軽く怒っていたけれども僕は満足だった。エヴァのまま、エヴァが終わってくれてとても感動した。


間違いなく、この「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」の主人公・山崎陽介はあの世紀末の時代の標準的な若者として描かれている。未来に対して漠然とした期待を寄せつつも、それに対する実際的な努力の多くが徒労に終わることを「賢い」から知っていて何もしない。だから、用意された凡庸なレールに沿って進むことが正しいことなのだと思い込もうとするが、そこまで希望を捨てることもできない、灰色の未来を生きるを覚悟がどうしてもできない。思考はループして、閉塞して、ただただ不安とともに時間が過ぎるのを見送っている。そんな日常をかつて送ったことのある、もしくは今も送っている僕はそんな山崎君にすんなりと感情移入することができました。この小説は一人称で書かれているので、山崎君に感情移入することができるかできないかでその評価は大きく変わってくると思います。滝本氏と同年齢、それよりも少し下辺りの人ならとても興味深く読めると思います。


そんな醒めているけれども、醒めていることが苦しくてしょうがない山崎君にとって、セーラー服美少女戦士とチェーンソー男のマジの殺し合いは避けるべきことではなくて、福音なわけです。あらすじに書いた「悪と戦って~」というセリフは何故彼がその戦いに関わろうとするのかという問いに対する答えです。はっきり言ってかなり馬鹿で阿呆な物言いですが、かなり実感がこもっていてリアルなセリフだと僕は思いました。このセリフに少しでも同感だという気持ちを抱く人は読んで損なしです。一種の踏み絵としてあらすじに付記しておきました。


大きな物語を素直に生きることのできない山崎君ですが、この小説の最後には何とか自分なりの生き方を見つけます。それが少し問題があって………というか、ここ最近のアニメ事情とかと対応しているような気がするんですよね。ちょっとネタばれが入るので読むこと確定な人は回避お願いします。


以下ネタばれ





最終的に山崎君はチェーンソー男との戦いを放棄しようと雪崎ちゃんに訴えて、まあいろいろごたごたがあって、それはある意味成功します。そして、彼に残されたのはチェーンソー男とのセカイを賭けた戦いの勝利ではなく、愛する雪崎絵里とのささやかながら楽しくて退屈な日常だったのです。アニメというかオタクの世界で大きな物語を描く作品が減って、かわいい美少女とのつつましいけれども楽しい日常を描く作品が増えているのは、あの閉塞したエヴァ後のオタクたちが個人的な物語に希望を見出したということを意味しているのだと思います。この小説もそのように終わっているのです。




ここまでネタばれ

そんな世紀末の空気を表現した「ネガティブ~」なのですが、世紀末と僕が書くのには理由がありまして、ここ最近は事情が変わってきていると思います。どうして変わったのかといえばやっぱりワールドトレードセンターのテロ、国内的には北朝鮮の拉致事件の真相が露見したことが大きかったでしょう。大きな物語が存在しない、日常は終わらないという前提が無意識のうちにあったからこそ、世紀末のあのころのような考え方が可能だったのですが、それが見事にこの二つの事件で崩壊しました。もちろん、実際には日常は確実に崩壊することは昔も今も変わらないのですが、この事件のせいで(おかげで、というのは不謹慎過ぎるしょうが)そういう論理の意識内での有効性がほとんどなくなりました。日常は終わる。僕らは時代の大河の中に一粒の水滴として存在している。僕ら全体に敵対する「セカイの敵」とでも形容すべき奴らが僕らの国の隣に存在する。「終わりなき日常」という思考の枠組みはその大半が終わりました。

これから時代がどのように変遷していくのか、そんなものは凡人中の凡人の僕には分かるはずもありませんが、あのころの僕が(僕らが)危惧していたように大きな絶望しか跡に残らなかったというような悲惨な未来にはならないように、限りなく微力ではありますが、自分なりに努力しながら生きて行きたいものです。



今回のレビューはかなり青臭かったですね。でも「ネガティブ~」を読むとそんな気分になりますよ。本気で。
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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学


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